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頭の中の感想置き場

映画、アニメを中心に感想や想いを綴っていきます

~言葉にできないアニメ的躍動感に幸福を覚える~「リトルウィッチアカデミア」ネタバレレビュー

映画レビュー アニメレビュー

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作品概要

子供の頃に見た魔法ショーに心を奪われ、憧れの魔女学校に入学した魔女見習いの少女がいろいろ空回りしながらも大きな騒動に巻き込まれて成長していく姿を描く若手アニメーター育成プロジェクト「アニメミライ2013」の1作。声の出演は潘めぐみ、折笠富美子村瀬迪与日笠陽子日高のり子京田尚子高山みなみ、赤坂千夏、中尾衣里など。監督はこれが監督デビューとなる吉成曜

 

 

点数:4.5点(5.0点満点、0.5刻み)

※ネタバレを含みますので読まれる方はご注意ください

 

 

25分の短編だが、まるでハイクオリティな長編アニメ1本を見終わったかのような充実感と、あらゆる面からアニメ的快感が押し寄せてくるて最高に楽しい作品だ。

 

この作品は25分間に渡ってアニメらしい躍動感や快感に溢れている。このアニメらしい快感というのを言葉にするのがまた難しいシロモノなのだが、今作におけるアニメ的快感を精一杯言葉にするとジャパニメーションカートゥーンアニメが見事な塩梅で合わさった折衷感覚だと思う。

 

例えばキャラクターデザインは最近のいわゆる「萌え」とは違うアニメらしいかわいさに懐かしさを覚える。主人公のアッコのデザインは昔懐かしい子供のためのアニメの王道主人公のようなストレートさやかわいらしさがあるし、アッコがライバル視するダイアナは日本人が描く美しい白人美女みたいなイメージで描かれているような印象を抱く。彼女たちは恐らくジャパニメーション的なデザインが表立ったキャラクターだと思われる。一方、親友のロッテとスーシィのデザインには小さい頃によく見ていたカートゥーンネットワークで放送されていそうなアニメのデフォルメ感やキャラ付けを濃厚に感じる。キュルルと強調された愛らしいメガネ越しの目やミステリアスでクールな風貌もいい感じに丸っこくて愛らしい。このようにキャラクターデザインだけでもジャパニメーションカートゥーンアニメの折衷感覚を感じる。全体的な作りもジャパニメーション的な展開描写が多いかと思いきや、ダンジョンでの授業チュートリアルでは「サウスパーク」のようなデザインが飛び出し、ミノタウロスの体がドロドロに溶けるなどの時々グロテスクな表現を入れてくるなどカートゥーンアニメらしさがフッと入ってくる。この折衷感覚が既にたまらない。

 

しかもこのキャラクター達の表情やしぐさがまたイキイキと変化するのである。嬉しい時には大きく笑顔になり、驚いた時には目が点に、しかめっ面の時には歯をギュッと噛み締め、恐れているときは涙を流すなど些細な表情1つ1つの目や口の動きがアニメ的にデフォルメされていて、しぐさもいい意味でオーバーでコミカルさがあってかわいらしい。この辺はどちらかというとカートゥンアニメ調だ。他にも魔法で顔が変化したり、痛そうに顔がゆがむ表情などある意味で不細工な表情も隠さずに大きく見せる。それが観客の笑いを誘うと同時に彼女たちやこのアニメの真面目さや誠実さに直結しているのではと感じた。表情の変化だけでもアニメを見ている意義があるアニメというのはなかなかない気がする。

 

またロマンあふれる世界観を縦横無尽に駆け巡る快感もたまらない。カラフルな魔法が様々な方向にラインを描き、ダイナミックなエフェクトと演出に目を奪われる冒頭のシャイニィシャリオの魔法ショーで一気に心を掴まれ、魔法に包まれた魔女学校の一つ一つの風景や小道具など細かい部分での描き込みも美しい。そんな世界観で展開されるのは魔法学の座学や箒に乗る訓練、ダンジョンでの演習というのもまたワクワクさせてくれるポイントだ。こういった世界観や小道具、学園生活へのこだわりなど「ハリー・ポッター」シリーズなどのファンタジーを見ているカタルシスを感じさせてくれる。最後に待ち受ける封印されたドラゴンとの手に汗握るド派手なアクションでは、画面いっぱい所狭しと動き回り、決してリアルな動きではないアニメ的な動きの躍動感がまた素晴らしい。アニメのキャラクターがなめらかに気持ちよく動くだけで幸せに感じられるアニメ的快感の集大成だろう。あと大島ミチルの美しくてかっこいいファンタジースコアも聞きごたえ抜群だ。

 

そしてハリー・ポッターのように実は最初から素質がある選ばれた主人公ではないのもミソだ。アッコはシャイニィシャリオの魔法に魅せられたことによって、魔女の家計ではないけど魔女になることを決心する主人公だ。だがはっきり言って魔女の家計ではない彼女は落ちこぼれである。授業では居眠りするし、箒に乗る訓練では箒を操れずに墜落してしまう始末だ。それでも夢に向かって憧れの魔女を目指す姿、慣れないフィールドで頑張る姿に肩入れしたくなるし、最後のドラゴンの戦いでは落ちこぼれだけど自然と自分の夢への想いが溢れてくる彼女を応援したくなる。監督の吉成曜は「アニメミライ」という新人アニメーター育成のためのプロジェクト=新人アニメーターの挑戦というのを意識して作ったらしいので、きっとその計算が見事に成功したものなのだと思う。短編故にアッコの成長を深く描きにくいものの、そのポテンシャルはビンビン感じられた。

 

ジャパニメーションカートゥーンアニメの折衷による躍動感や表情の豊かさはアニメを見ているという快感を与え、ファンタジーやロマンも我々の心を満たしてくれる…見ていてこれほど幸福な気持ちになるアニメはもしかしたら久しぶりかもしれない。続編の「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」もすごく楽しみだ。

 

続編のレビューはこちら

marion-eigazuke.hatenablog.com