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頭の中の感想置き場

映画、アニメを中心に感想や想いを綴っていきます

~かけがえのないアタシ達は今と未来に生きていく~「ピッチ・パーフェクト2」ネタバレレビュー

映画レビュー

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作品概要

前作から3年連続全米1位の快挙を成し遂げた大学女子アカペラグループ「バーデン・ベラーズ」がまたまた無様な姿を晒してしまったために、アカペラ協会から全米中のアカペラ大会出場停止処分を言い渡されてしまい、この処分を撤回するためにアカペラ世界大会での優勝を目指す音楽コメディ。出演はアナ・ケンドリック、アンナ・キャンプ、ブリタニー・スノウレベル・ウィルソン、アレクシス・ナップ、エスター・ディーン、ハナ・マエ・リー、ヘイリー・スタインフェルド、クリッシー・フィット、スカイラー・アスティン、ベン・プラット、アダム・ディヴァイン、ジョン・マイケル・ヒギンズ、エリザベス・バンクスなど。監督は今作で監督デビューとなるエリザベス・バンクス

 

 

点数:4.5点(5.0点満点、0.5刻み)

※ネタバレを含みますので読まれる方はご注意ください

 

 

前作以上にハチャメチャで、様々な要素が入り組んでいるのに、これがまた一つの友情やステージに集約されていく手腕に脱帽すると共に、泣いて笑っての感情が渦巻いていく最高の映画だ。

 

前作でもチームの方向性を巡って個性的過ぎるメンバー達がバラバラになってしまう危機に陥ってしまったが、今作でも同様にチームの方向性を巡って彼女達は悩むこととなる。伝統に縛られることをやめて新たな新風を取り入れることで復活したバーデン・ベラーズは以降も怒涛の快進撃を続けていたが、オバマ大統領の誕生日式典のステージで布で吊り上げられたファット・エイミーの股下が裂けてしまい、オバマ大統領や全世界に「エイミーのエイミー」を晒してしまうというアクシデントを起こしてしまう。前作のゲロ事件がまだかわいく見えてしまうほどだ(笑)この事件によってアカペラ協会から全米で開催される大会への出場や特別公演を禁止されてしまい、この禁止を撤回させる条件として未だにアメリカ代表の優勝経験がないアカペラ世界大会で初優勝しなければならないという難題が課せられてしまう。

 

最初は「私達なら余裕でしょ!」と意気込んで、振り付けや歌の特訓を重ね 、自分達の特別公演の代わりを請け負ったドイツ代表のダス・サウンド・マシン (DSM) の偵察を行うなどするが、世界大会のリハーサルを兼ねたパフォーマンスではダス・サウンド・マシンの無駄のないパフォーマンスやサーカス要素などいろいろ盛り込みすぎて失敗してしまう。彼女達はまた自分達らしさとは? という問題に直面してしまう。

 

またメンバーそれぞれの大きな悩みも描かれる。リーダーである主人公のベッカは卒業後の進路を考えてレコーディングスタジオへのインターンに出向き、プロデューサーにマッシュアップの技術を披露しデモテープを持ってきてくれと頼まれる。だがベラーズ存亡の危機に躍起になっているもう一人のリーダーであるクロエや仲間達の姿を見ているととてもじゃないけど自分のことは話せない。それどころか誰も卒業した後のことを考えず今のことばかりな状況にも疑問を持っていた。一方、元バーデン・ベラーズメンバーの娘という理由でベラーズに入った新人のエミリーもまた作曲家になる夢やコネによる入団もあってどこかチームなじめず、謎のおじさん主催のアカペラ大会でもエミリーが自分の作ったオリジナル曲を披露してしまいバーデン・ベラーズは失格になってしまう。他にもバンパーとの恋愛関係に悩むエイミーや、チーム一丸となって進むクロエなど様々な思いが交錯する。

 

そして彼女達はかつてのリーダーであるオーブリーが営むロッジで自分達らしさを取り戻すための合宿を行い、そこで彼女達はまた自分達の思いを打ち明けていく。そうして彼女達はこのかけがえのないメンバーといられるのは今しかない、いつかは自分達の未来に向けて歩み出さなければならないことに気付かされる。でも決してお涙頂戴なしっとりムードではなく、それぞれの将来の夢を面白おかしく述べ合っているだけなのだ。この後腐れのない立ち位置が彼女達らしい。最後にベッカが入団テストで披露した「Cups」こと「When I'm Gone」をみんなで火を囲みながら歌う場面で思わず涙を流してしまうほどにこの場面は神がかっていると思う。

 

この合宿でようやく彼女達は唯一無二の本当の自分達らしさに気付くのだが、彼女達らしさとは何だろうか?それは「かけがえのない仲間と未来を見据えて、今に全力を捧げること」と「定番や既定路線を裏切り続けて新風を起こしていくという伝統」だと僕は思う。そんなアカペラ世界大会での彼女達のパフォーマンスはCupsを連想するようなボディ・パーカッションから始まり、劇中のシーンを思い出すような選曲、最後にはエミリーのオリジナル曲を歴代のバーデン・ベラーズメンバーと共に歌い上げるという掟破りの演出を披露する。確かに掟破りだがこのパフォーマンスを見て感動しない人はいないだろう。しかもこのパフォーマンスに物語の全ての要素が集約されているのがまたすごい。ただチームのドラマや各キャラクターのドラマなどいろいろ詰め込み過ぎてかなり強引な話運びではある。例えば謎のおっさん主催のアカペラ大会は見ていて楽しいが唐突だし、合宿でもなんか遊んでいるように見えるなどいろいろユルい部分はあるようには感じるが、彼女達のパフォーマンスにはそんなことを不問にしてしまえるだけの魅力があるので問題ない。

 

そして今作でもアカペラの楽しさが滲み出ている。トレブル・メーカーズは前作よりも出番は少な目だが彼らのパフォーマンスも相変わらずハジけていて楽しいし、ダス・サウンド・マシンの精巧で無駄の無いパフォーマンスは見ていて惚れ惚れする。謎のおっさん主催のアカペラバトルでは前作以上にノリノリでアカペラで曲を繋げていく快感がたまらない。あとバーデン・ベラーズの合宿中にはかつての伝統的なバーデン・ベラーズがやっていた曲のアカペラが流れるなど芸が細かい。コメディ部分も冒頭のオバマ大統領誕生日式典に始まり、熊用のトラップに引っかかったベッカをみんなで救う場面、ベッカがダス・サウンド・マシンのリーダーに喧嘩を売ろうとするもいつも褒め言葉になってしまうくだり、エイミーとバンパーが仲直りする場面、エンドロールでアメリカのテレビ番組「The Voice」に出場してハチャメチャなことをするバンパーなどおかしい場面が沢山あって楽しい。

 

役者陣も新たな魅力を振りまく。ベッカ役のアナ・ケンドリックは今作でもファニーでクールな演技でみんなを引っ張っていくし、エイミー役のレベル・ウィルソンの直球な下ネタにも何度も笑わされる。しかもバンパー役のアダム・ディヴァインとのロマンスなど更に前進した描写もあって余計に魅力的に感じた。クロエ役のブリタニー・スノウは常識人っぽいけど将来のことを全く考えてないあたりがちょっと変人に見え、ステイシー役のアレクシス・ナップは相変わらず性に奔放で、シンシア役のエスター・ディーンは事あるごとに女子とのスキンシップに勤しみ、リリー役のハナ・マエ・リーは小声で更にミステリアスに、フロレンシア役のクリッシー・フィットは不法入国とか危ないネタを連発し、OGのオーブリー役のアンナ・キャンプは肩の力が抜けた落ち着きでみんなを支える。そして新メンバーであるエイミー役のヘイリー・スタインフェルドがまたいい味を出している。必死にチームについていこうとしているもののまだどこか自信がなさそうな彼女が、最後には華々しくベッカと共に自分のオリジナルソングを歌い上げる姿は思わずアガる。

 

他にもジェシー役のスカイラー・アスティンは出番少な目なものの、バーデン・ベラーズの世界大会パフォーマンスで頑張って応援しているのが印象的で、エイミーと淡い恋愛関係になるベンジー役のベン・プラットはとてもたどたどしくてすごく応援したくなる。バンパー役のアダム・ディヴァインは更に愉快に、エリザベス・バンクスとジョン・マイケル・ヒギンズのお下劣な司会も更にパワーアップしていて笑いを誘う。

 

今作で「バーデン・ベラーズ」というチームのかけがえのなさ、儚さを描きつつも、その一瞬に全力で楽しむ彼女達が最高に輝いて見え、前作を超える興奮と感動が待っている。映画としても前作を悠々と超えていく出来栄えであると同時に、颯爽と前作を自分を超えていく彼女達の活躍がまだまだ見たいなと思う。第3作目の制作も決定しているとのことなので首を長くして待ちたい。

 

前作のレビューはこちら

marion-eigazuke.hatenablog.com