頭の中の感想置き場

映画、アニメを中心に感想や想いを綴っていきます

【2016年ベストテン&ワーストテン企画】2016年映画ベストテン

さぁ今年も鑑賞してきた映画やアニメを振り返る季節がやってきました。皆さんは今年はどんな映画やアニメを鑑賞しましたか?面白かった作品やつまらなかった作品などいろいろな作品があったと思います。というわけで今年もベストテン&ワーストテン企画をやっていきたいと思います!今回は映画、アニメに関して5つのランキング(実際は4つになるんだけどそれは改めて…)を作り上げて発表したいと思います。第1弾は「2016年映画ベストテン」です。

 

まず今回のベストテンにエントリーできる映画についてですが、この条件を満たした映画でベストテン決めたいと思います。

  • 2016年1月から2016年12月に劇場公開された映画
  • 2016年1月から2016年12月に発売されたディスクスルー映画
  • 2016年1月から2016年12月にNetflixで配信されたNetflix制作のオリジナル映画

 

当たり前ですがこの条件を満たしていても僕が鑑賞していない作品は選考対象外です。また劇場での鑑賞、レンタルDVDでの鑑賞など鑑賞方法は限定しません。今年は82本がエントリー対象作品となりました。

 

それでは第10位から発表していきたいと思います。

 

 

第10位:デッドプール

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今年もアメコミヒーロー映画が数多く公開されたけれど、今年一番最高だったのはやはりデッドプールだろう。まるで彼自身がやりたい放題しながら映画や観客に干渉していくメタフィクション構造、下ネタや楽屋落ちネタなどキャラクターの破天荒さを生かしながら、身も蓋もない暴力描写にも力が入った新たなアメコミヒーロー映画である。だが真の意味で心打たれるのはどんなにバイオレンスになろうとも、不幸に見舞われても、愛した女性を一途に思い続けるピュアさだ。これまでなかなか目の出なかったライアン・レイノルズのキャリアを重ねつつ、「真のヒーローは外見じゃない、中身なんだぜ」と体現してみせるデッドプールに男泣きだ。

 

 

第9位:Mr. ホームズ 名探偵最後の事件

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ここ数年、シャーロック・ホームズの映像作品が増えてきているがここにきて新たな傑作が誕生した。かつての名探偵シャーロック・ホームズは薄れゆく記憶の中で自らが封じ込めた最後の事件の真相を解きほぐしていく。新たな助手としてホームズを手伝う少年と彼の母親である家政婦との生活、日本で出会った梅崎との出来事を通じて事件の真相にたどり着いた時、ホームズは真実だけでは説明できない最大の謎に気づく。亡くなった友の計らい、孤独に生きる名探偵、拭えない後悔、意志を受け継ぐ少年など前年ベスト「クリード チャンプを継ぐ男」を彷彿とさせながらじっくりと描かれる上質な人間ミステリーに静かに涙を流す。イアン・マッケランの素晴らしい演技にも震えた。

 

 

第8位:ちはやふる 上の句

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今年も「溺れるナイフ」など素晴らしい青春映画が誕生してきたが、今年一番アツい青春映画は今作だろう。かるたに熱中し続ける者、諦めを抱えたままかるたに臨む者、かるたをやめていた者、かるたで読まれる和歌に心奪われた者、仕方なく部活に入った者…価値観も熱意も違った5人の若者がかるたに青春の全てを賭けて、一つのチームへとなっていく姿に熱い青春の面影を連想させ、見事に感情を揺さぶる。ダメな邦画にありがちな演出も、きちんと盛り上げ方や役者陣の魅力を理解して的確に作られているのも素晴らしかった。下の句も素晴らしかったが、自分はかるたにのめりこんでいく楽しさ、チーム一丸となっていく素晴らしさに胸を打たれ、ベストテンに加えた。

 

 

第7位:ソーセージ・パーティー

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巨大スーパーでお客様に選ばれるのを待ち続けている食材達は彼らに食される運命だった…今年は世界中で不寛容で閉鎖的な世界に突き進みつつある出来事が重なった1年だったが、それに反応するかのように寛容さや多様性を訴える映画も多かった。そんな中で今作はそれらのメッセージを踏まえながら徹底的にお下劣で不謹慎に描き出す。食材達の多様性を受け入れて、人間達に強烈な反撃を喰らわせる様は不謹慎ならも爽快で、その先に待つ「パーティー」はまさにラブ&ピースである。下ネタ、人種ネタ、ドラッグネタ、グロ描写、最後のオチまでとことんふざけまくっているが、説教くさくなくメッセージが突き刺さるのは見事だ。個人的に仲間内でビール飲みながら見たい映画だ。

 

 

第6位:海よりもまだ深く

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今年は自分自身や家族との関係について改めて考えさせられる年だったのだが、そんな自分に突き刺さったのが今作だった。作家の夢を追いかけるあまり、幸せに気付かないまま時が進んでしまった主人公のダメっぷりは理想と現実の狭間で揺れる自分を見ているようで身につまされる。そんな主人公を通じて描かれるのは是枝裕和の作家性である海のように深い部分で繋がった家族の縁と人生の折り合いだ。どんなに嫌っていようが付きまとってくる家族の縁は実に面倒くさく、後悔と諦めの連続である人生は時に哀しい。だがその縁こそが哀しみを支え、想いが受け継がれていく。そして家族と人生は続いていく…これからの人生、あの台風の夜を思い出して生きていこうと思った。

 

 

第5位:永い言い訳

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そして自分自身について改めて考え直した時に刺さったのが、奇しくも是枝裕和の弟子筋にあたる西川美和の作品だった。今作の主人公も他人の気持ちを考えることを放棄し、周囲の評価がないと生きていけないダメっぷりを見せつけ、空虚な自分の痛い所を容赦なく刺してくる。冷め切った妻との愛を埋めるかのように不倫に興じ、妻のメールに残された「もう愛していない」という文章に絶望し、妻が死んだ後に始めた家族ごっこにも自分の居場所はない…空虚な男の言い訳は哀しくも醜く、言い訳を聞いてくれる妻はもういない。でもそこから自分を認め、他者を愛し始めるのだ。自らの愚かさに目を背け続けたダメな男の生き様を西川美和は厳しくも優しく描き出す。

 

 

第4位:アイアムアヒーロー

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妄想の中でしか強い自分になれず、漫画家として芽が出ないどうしようもない鈴木英雄はある日突然、ゾンビアポカリプスへと巻き込まれる。しかし彼を縛っていた社会の概念が崩壊してもなお、英雄は何も出来ない。そんなどうしようもない男が必死になって愛する人達を守るために大きな勇気を振り絞り、本当の「英雄」となっていく様に胸が熱くなる。ロッカーの中で何度も臆病な妄想をはねのけて助けに行こうと葛藤する場面に男泣きだ。そしてメジャー邦画だからという妥協一切ナシで作られたグロテスク描写や丁寧な日常崩壊、大量のゾンビ相手の総力戦に大興奮。日本でしか作ることが出来ないゾンビ映画であると世界に胸を張って自慢できる傑作だ。

 

 

第3位:映画 聲の形

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無邪気さ故に耳の聞こえない少女を傷つけた少年は、大きなしっぺ返しを喰らい人との関わりを絶つようになった。そして少年は自己嫌悪と贖罪を胸に秘め、あの時傷つけた少女との再会を果たす…今作の登場人物達が違う価値観や思い込みによって他人を傷つけてしまう姿はコミュニケーションのもどかしさや言葉の持つ残酷な力、不安の具現化である。それでも彼らは必死に対話を続け、自らをさらけ出しながら希望を見出していく。ようやく1歩を踏み出した瞬間のなんと誇らしいことか…言葉で傷つけた、傷つけられた経験を痛々しく描きながら、対話の大切さを優しく包み込んでくれる傑作だ。また実写映画以上に感情を繊細に切り取った演出とスコアにも痺れた。

 

 

第2位:君の名は。

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人との繋がり、伝統の継承、大災害、RADWIMPSの素晴らしい楽曲達を散りばめながら、圧倒的なまでに美しい彗星と時空に阻まれた若き2人の切なくて溢れ出る想いが爆発する。そして2人は能動的に世界へと干渉して運命を変えようと前に進み続け、運命という概念が持つ残酷さや奇跡、閉塞感に満ちた世界からの解放を描き出す。漠然と存在し続ける時間や場所の中ですれ違い続ける若い男女を美麗な日常風景と音楽、モノローグで積み重ねてきた新海誠が遂に自らの作家性を誰もが楽しめるエンターテイメントに昇華させるまでに成長したことを見事に証明してみせたのだ。ファンとしてこれほど嬉しいことはない。

 

 

第1位:シン・ゴジラ

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12年ぶりに製作された日本製ゴジラ映画の主人公は日本という国そのものだ。核の恐怖や抗うことの出来ない災厄として君臨するゴジラに対し、日本はなす術もなく蹂躙されていく。もはや希望はないと思ったその時、日本の中心で舵を取る者達は「日本らしさ」によってこの災厄を乗り越えていく。また会議描写、軍事描写、日本を取り巻く空気感、畏怖を覚えるゴジラのビジュアル、ヤシオリ作戦のカタルシス、オマージュの数々などリアルとロマンをキレのある編集で積み重ねることで、日本の崩壊と再生、日本人の再定義、そしてゴジラ映画の再構築を成し遂げる…そして唯一無二の映画を見たという興奮と新たなゴジラ映画の誕生に嬉しい感情がこみ上げるのだった。

 

 

 

…というわけで今年のベストテンは改めてこのようになりました。

  1. シン・ゴジラ
  2. 君の名は。
  3. 映画 聲の形
  4. アイアムアヒーロー
  5. 永い言い訳
  6. 海よりもまだ深く
  7. ソーセージ・パーティー
  8. ちはやふる 上の句
  9. Mr. ホームズ 名探偵最後の事件
  10. デッドプール

 

毎年言っているような気がしますが、今年もベストテンを決めるのに苦労しました。惜しくもベストテンに入れられなかった作品は以下の通りです。

 

このベストテンを踏まえて軽く今年の映画を振り返ってみるとやはり邦画勢の勢いが素晴らしかったですね。特に東宝の企画力と座組みの素晴らしさは神がかっていたなと…ベストテンに4本も入れてますからね。もちろん他の配給会社からも素晴らしいクオリティの邦画が沢山あって、邦画だって負けてないぞ!という気概を感じました。だいたいベストテンは洋画が多めになる傾向があるのですが、洋画と邦画の比率が逆転したのはこれが初でした。

 

一方、洋画は前年のお祭り騒ぎと比べると落ち着いたように感じました。恐らく一番の要因は大作系の不作でしょうか?不作と言ってもつまらなかったという訳ではなく、面白いけどいまいち派手さに欠けたり、心を揺さぶるような作品と出会えなかったという感じ。逆にホラーやコメディなど中規模な予算で作られているであろう作品達はかなり勢いがあった気がします。「ストレンジャー・シングス」など中規模な映画として作られるであろう企画がテレビドラマやストリーミング配信で高評価をたたき出していることも関係あるかもしれませんね。

 

あとアニメ映画、またはアニメ業界に所縁のある映画から洋画邦画問わず素晴らしい傑作がどんどん生まれましたね。これからもアニメから目が離せないと同時に、アニメという領域を取り込んだクロスオーバー的な座組みや見ごたえのある企画が増えていくといいですね。

 

というわけで2016年映画ベストテンはここまでです。「今年は就活もあるから見れないな」とか言いつつ、去年を同じ本数を見ることが出来たけど、さすがに社会人になったら本数減るよな…(フラグ)